二〇〇三(平成十五)年のイラク戦争をきっかけに、一水会運動に参加してから今年で二十年。その間、運動を担う機関紙『レコンキスタ』の編集に携わってきた私だが、ここで改めて、機関紙名である「レコンキスタ」について考えてみた。

 「レコンキスタ」とは八世紀から十五世紀末まで、イベリア半島におけるキリスト教徒の領土奪還の軍事行動であり、「再征服(re=再び、conquista=征服)」として説明されている。

 一水会創設期の諸先輩方は、祖国日本が昭和二十年以来の占領体制に置かれていると痛感し、「祖国恢復」の意味を込めて機関紙名に『レコンキスタ』として命名した。日本の民族派団体の機関紙名が、スペイン語由来の横文字である事はかなり斬新であった。一方で「何故外国語を使うのか?」と聞かれる事はある。

 中には、「一水会は親アラブ・イスラムであるのに、何故反イスラムの言葉を機関紙名に使うのか。断固反対する」という批判を頂く事もあった。

 一水会は海外諸国との関係で、イスラム圏、アラブ諸国と交流する事は多い。だが過去二十年に渡って、彼らから「反イスラム」であるとの指摘を受けた事は一度もない。仮に機関紙名が「クルセイダー(crusader、十字軍)」であれば大きな反感を生んだだろう。彼らが「レコンキスタ」に反発しなかったのは、木村代表らの説明努力もあるだろうが、アラブ・イスラム圏にとっても「祖国恢復」が喫緊の課題であったからだ。かつて大東亜戦争で欧米列強と戦った日本は、アラブ・イスラム圏にとっても憧れであった。だが湾岸戦争、イラク戦争以降は米国の「ポチ」として、真っ先に侵略戦争を支持する始末。

 現在の日本の体制は、米国の「占領体制」である。だからこそ真の独立を目指さなくてはならない。これが「祖国恢復」であり、故に「レコンキスタ」と機関紙名に掲げているのである。

 米国やイスラエルの侵略、占領を受けているアラブ・イスラム圏の人々は共感しているのだろう。だから機関紙名を変える事はない。

 「祖国恢復」が成し遂げる日まで、「レコンキスタ」の発行を続けようと思っている。できれば次代を担う若者にも「レコンキスタ」の精神を受け継いで行きたい。