レコンキスタの愛読者のみなさま、共に新春を迎えられますことに感謝をいたします。

 昨年末、日本政府は中国を今までにない最大の挑戦と煽り、また北朝鮮やロシアに対しても従来以上の懸念ある存在と位置付け、防衛費を五年間に四三兆円とすることを決め、その為に国民に増税を強いたり、将来の負担となる建設国債の発行を求めました。

 私は周辺諸国との間に懸念が全くないとは申しません。防衛費の増額は必要ないと申し上げているわけでもありません。

 しかし、米中対立激化の緊張感の中で、安易に米国側につき、台湾有事が恰も近未来に起こるかのような思いにとらわれ、結果としてトマホーク五〇〇機など米国製の高価な武器を大量に買わされることになっていくことに対して、日本外交の不在を嘆いているのです。米国が中国を敵視するのに合わせて、日本も中国を念頭に敵基地攻撃能力を持とうというのは、明らかに専守防衛の枠を逸脱しています。日本が抑止力を高めれば、周辺諸国も抑止力を高めていくでしょう。それは決して望ましくありません。

 中国もロシアも北朝鮮も日本を敵視しているわけではありません。彼らを敵視の方向に向かわせるのはナンセンスです。脅威は能力と意図の掛け算です。能力があっても意図がなければ脅威ではないのです。意図を減殺させるのが本来外交の役割です。ただ、近年、日本の外交力が極めて劣化しています。

 レコンキスタの愛読者のみなさん、日本を対米自立の道に向かわせ、世界から、特にアジア諸国から尊敬される存在に導くために、民間の努力で中国を始め周辺諸国との間に相互に尊重され、相互に理解され、相互に助け合う関係を作り出して行こうではありませんか。

 私は昨年、木村三浩代表のお供をして、韓国の珍島に行って参りました。そこには倭徳山という丘があり、豊臣秀吉による慶長の役で敗れた日本兵が葬られていました。住民たちが死者には敵も味方もないのだと厚く葬って下さっていたのです。

 そこでの慰霊祭に参列しましたが、今だに植民地時代の頸木から逃れられない日韓関係を好転させるきっかけになればと願います。

 周辺諸国と憎しみ合えば米国の思う壺。高い武器を大量に買わされ、集団的自衛権の下でますます米国に従属する日本になり下がるばかりです。

 あと二二年で戦後百年を迎える日本が、その時も米軍基地によって守られている姿を曝け出していて良いのでしょうか。本年がピンチをチャンスに変え、真に独立した日本へと導くスタートの年にしたいものです。