〜旧統一教会騒動に便乗した宗教全体へのバッシングを許さない!〜


恐ろしく低レベルなカルト宗教批判の数々

 以下に、その一知半解の者どもによる無知な反論例をいくつか列挙し、それへの反駁を加えておく。

①「献金への課税で『地方の小さな寺社や、維持管理に莫大な費用の掛かる国宝や重要文化財等を抱えた寺社』が潰れる」というのなら、例えば「一定面積以下の固定資産税だけは免除」など、儲けてる新興宗教団体にだけ課税されるよう仕組みを整えればよい。いわば累進課税だ。歴史的に重要な宝物とか建築物とかは、文化財として国が保護すればいい。

→一水会の公式ツイッターにも一人、この理屈で執拗に宗教課税を主張してくる輩がいたが、その「儲け」とか「歴史的重要性」とかやらの一定基準は、いったい誰がどのようにして決めるのだ? 「法の下の平等」にも反するし、大体前回にも書いた通り、そんな課税をしたところで、暴利を貪るような一部悪徳新興宗教にとっては、税金を取られた分、さらなるお布施を信者に苛斂誅求して生き残るだけであり、肝心のカルト宗教殲滅にはなんの役にも立たないのだ。

②伝統宗教は保護し、明治維新以降に出来た新興宗教にだけ課税すればよい。

→これも「法の下の平等」に真向から反している上、まるで新興宗教の全てが悪徳カルト宗教であるかの如く見なす悪辣な偏見である(それを醸成したのは主にマスコミだが)。
そもそも、例えば伝統的仏教における戒名や墓の維持管理にかかる費用と、新興宗教における献金との間には本質的な違いなど全く無い。またどんな古い宗教も、立教時は新興宗教だったのだ。中には(おそらく神道とそれ以外の宗教とを区別するつもりで)「教祖のいる宗教なんてどこも碌なもんじゃない」と言い放った自称保守派(!)までいたが(「遠州日の丸会」とか称する奴らだが)、そもそも今の神道だって原始社会のそれがそのまま今に残っているわけじゃない。聖徳太子や平田篤胤らをはじめ、歴史上に現れた何人もの教祖的神人・聖人たちによる再編を繰り返して今日の姿に至っているのだ。「教祖の有無」によってカルトか否かを判定するのもまた、マスコミによって醸成された偏見の一つである。

③宗教に課税はしなくてよいけど、正確な収支報告と関連友好団体の報告公開を義務化、あと海外送金と資産状況も公開で。これで零細寺社や国宝指定とかで維持管理費が高額な寺社をある程度は守りつつ、宗教もどきの霊感商法やマネーロンダリングしているところも規制できる。

→ネット上で見かけたカルト規制案の中では、唯一現実味のある主張だ。だがこれをやるなら宗教法人だけでなく、政治、福祉、公益、特定非営利ほか、寄付金を受け取る団体全てに同一条件を適用しなければ公平ではない。そもそも宗教法人が税制面で優遇されているのは、それが政治、福祉等と並び、自らは財を産み出せない非営利的存在でありながら、それが社会的に絶対必要不可欠な公益的存在であるからだ(この問題については次回後述)。しかしその価値すらも否定しようとするのが、この後に述べる、本項の標題にもなっている奴らである。

スパチャ、オンライン、サロン、推し…… カルト宗教と何が違う⁉

④宗教なんて全部インチキ。いっそ宗教法人制度そのものを廃止しろ。

→カルトとそれ以外の宗教とを区別することのあまりの困難さに発狂し、こんなキリスト歴一九世紀の遺物思想を口走って恥じない輩が、現代のネット上に、それも全世界的な規模で急速に増殖しつつあるというのだから悍ましい。

 多少なりとも知識・教養を備えている方にとっては常識だが「宗教を禁止した国家」というものはすでに実在する。

 旧ソ連や中共等、共産主義国家がそれだ。

 奴らがやった事が、どんな悪辣なカルト宗教でも全く足元に及ばないほど、激烈なまでに残虐非道なものであった事は今更説明するまでもあるまい。その意味では、共産主義という「史上最悪の」邪悪に対抗するために、統一教会というそれよりは「ややマシな」邪悪と手を結ぶことを決めた岸信介・笹川良一らの政治的判断も、冷戦期におけるマキャベリズム的決断としては、だから全く理解できないわけではないのだ(それでも冷戦終了直後のキリスト歴九〇年代早々には、自民党は奴らと絶縁しておくべきだったとは思うが。時勢を読んでこの時すぐさま金日成と手を結んだ統一教会のほうが、機転が利いていたということか)。

「冗談じゃない。俺は無神論者だが共産主義者では無いぞ!」

 そう反論してくる無神論者も大勢いることだろう。
 
 だが、そんな抗議に耳を傾ける義務は我々には無い。

 大体、最近はやりの「スパチャ」だの「オンラインサロン」だの「推し」だの、ありゃ一体なんだ?
ホリエモンや西村ひろゆき、岡田斗司夫氏ら札付きの無神論者たちが率先して行っているこれら集金行為と、宗教における献金との間に、一体どんな違いがあるというのだ。「家庭を破壊するほど過度な献金」が問題だというのなら、課金ゲームや株取引、FXだって規制対象にしなければおかしいではないか。

 先に悪質なカルトと、その他の宗教とを一緒くたにして「宗教なんてみんなインチキ! 詐欺!」と断定したのはお前ら無神論者だ。ブーメランはきっちり受けてもらわねばならない。
繰り返す。

 無神論者はみんな大量虐殺者だ。奴らが共産主義者であるか否かを区別する義務など、こちらには無い。
(続く)

【月刊レコンキスタ令和四年一〇月号掲載】