聞き手:作家・上條 影虎

安倍元総理が存命ならロシア・ウクライナの戦争は止められた!

 ロシア・ウクライナの戦闘開始から一年が経過した。自分たちの手を汚さずに戦争を継続し、ロシアの弱体化を狙い、軍需産業を潤わせたい米国と、自分の政治の汚職を隠すため、ロシアとの戦争で英雄になろうとしているゼレンスキー大統領の思惑が一致したのがこの戦争だ。

 前回に続き、ロシア・ウクライナ情勢に詳しい鈴木宗男参議院議員に話を伺った。
鈴木宗男議員は現在、参議院懲罰委員長を務めている。昨年の初当選から一度も国会に登院していない、NHK党のガーシーこと東谷義和議員に対する対応でご多忙のところであったが、本紙のインタビューのために時間を割いていただいた。

上條:ロシアとウクライナが戦争に突入してから一年が過ぎましたが、停戦の気配もなく、ますます泥沼化していますね。

鈴木:米国やイギリスがウクライナに武器、資金を供与していることが、停戦せず戦況が長引いている原因の一つです。

上條:日本は、ただ黙って見ているしかないんでしょうか?

鈴木:安倍晋三さんがまだ総理大臣をやっていたら、こんな事になっていないと思います。

上條:安倍元総理は、ロシアのプーチン大統領とは非常に親しく、外交についても具体的な対話をしていたと言われていますが、実際のところは、どうだったのでしょうか?

鈴木:安倍さんは、総理一期目に続いて二〇二〇年にも体調を崩され、菅さんに総理大臣の職を譲ってしまいましたが、安倍さんがあともう一年総理大臣をやっていたら、五六年日ソ共同宣言に基づき、北方領土は還ってきましたよ。

上條:そうだったんですか?

鈴木:二〇一八年のシンガポールでの安倍総理とプーチン大統領の会談で、一九五六年の日ソ共同宣言に基づいて平和条約を締結するという事になりました。そして、ここで北方領土問題を解決させるという方向性になっていたんです。
 だから安倍さんが、もう一年お元気で総理大臣をやっていたら、これが出来たんですよ。残念で仕方がありません。

上條:前回のお話の中で、鈴木先生は安倍総理と月に一度、ロシア外交について意見交換をしていたとお聞きしました。北方領土問題や平和条約締結について、具体的にはどのようなお話をされていたんですか?

鈴木:安倍さんは、私の話を熱心に聞き、どうしたら北方領土が解決できるのか、どうしたら平和条約を結ぶ事が出来るのか?真剣に考えていました。私は安倍さんのその熱意には感動しました。

上條:鈴木先生は以前から、「二島返還」をおっしゃっていましたね?

五六年宣言で方をつける

鈴木:いきなり四島返せと言っても、それは私が吉永小百合を口説くよりも難しいですよ(笑)

上條:確かに(笑)。それは凄いですね。私も二島返還が妥当だと思います。

鈴木:もともと日ソ国交回復には、平和条約締結後二島を返すという約束しかないんですから。だから私は、「一九五六年宣言で方を付ける」、それしか無いと言っているんです。

上條:昨年安倍元総理が亡くなった事で、ロシア・ウクライナの戦争への影響はあったのでしょうか?

鈴木:ありました。安倍さんが存命していて元気だったら、戦争を止めたと思います。

上條:安倍元総理に、それほどの力がありましたか?

鈴木:安倍さんは、米国に「ダメ」と言えますし、プーチン大統領とも話をする力がありましたから、可能性は十分あったと思います。

上條:岸田総理はどうですか?

鈴木:何度も言いますが、私は「遠くの親戚より近くの他人」ということわざの通りだと思います。はっきり言って米国は遠くの親戚です。でもロシア、中国、北朝鮮、韓国は隣国です。これは仲良くするしかない。
 我々個人は、隣に変な人が来たら、挨拶もしなくてもいいし、口をきかなくてもいいんですよ。嫌だったら引っ越しをすればいいんです。しかし、国は引っ越しが出来ない。だから折り合いをつけるしかないんですよ。でも岸田さんは、米国一辺倒で隣国を排除するでしょう。それで日本に明日があるのか?という事ですよ。

上條:エネルギー資源の無い日本は、ロシアと共同開発しているサハリン2への影響も心配ですね。

鈴木:ロシアからガス、油が入って来なくなったら、大変な事になりますよ。米国もエネルギー大国ですから、このままいくと、日本は米国からエネルギーを高く買わされる事になる。結局、米国ばかりが得をして儲かるんですよ。

上條:ありがとうございました。次回も引き続き、お話を伺いたいと思います。