聞き手 作家 上條 影虎

日本の教育の崩壊

上條:小林先生は、以前より日本の教育に対して懸念を表明されていますが、今回はその辺のお話を伺いたいと思います。

小林:最初に私が言いたいのは、戦前までの日本の教育は素晴らしかったという事です。まず、江戸時代に寺子屋という教育の場が生まれ、庶民たちに教育が広がっていきました。そして明治になると、その流れのまま義務教育になっていった。知っての通り、教育勅語などを通して、日本人の精神を勉強してきた訳ですよ。だから昔の日本人は素晴らしかった。

上條:その当時と比べて、日本の教育はどのように変わっていきましたか?

小林:やはり大きく変わったのは戦後ですね。いわゆるアメリカによる占領政策が大きい。例えばパン食ですよ、それまで日本人の主食は米でした。しかし、戦後の給食などで米ではなく、パン食に切り替えをした。ただ私がここで言いたいのは、パンを食べる事がいけないという事ではないんですよ、言いたいのはアメリカが行ってきた占領政策なんですよ。

上條:パン食の文化を押し付けただけではないという事ですね?

小林:そうです。もちろん伝統文化の米食をパン食に切り替えさせ、日本文化を曲げられたという事もあります。しかし一番許せないのは、余剰農産物である小麦粉を敗戦国である日本に押しつけたという事なんです。自分たちが生産して、余った物を日本に買わせる……そして日本の文化まで奪ってしまう。これこそアメリカの占領政策に他ならない。

上條:なるほど……自国の余剰農産物を買い取らせ、文化まで奪うとは、アメリカにとって一石二鳥ですね。

小林:そして英語が義務教育の中に含まれている。自国の言語である、日本語をしっかり勉強しないで他国の英語を勉強する。これでは全く主権国家とは言えない。食と言語を変えられる事は、まさに占領政策ですよ。

上條:前回は、小林先生の官僚時代の話をしましたが、その中で官僚の資質も下がっているという指摘がありました。やはり教育も影響していますか?

小林:私は東京大学法学部を卒業して官僚になりましたが、本来東京大学法学部は、将来国を担っていく官僚を育てるためのレールだったんですよ。それが今は、東大法学部を出ても、官僚になりたいと思う学生が減っている。これを見ても、日本の教育が崩壊しているのではないかと思います。勉強をして、ただお金を稼げれば良いのか? もちろんお金を稼ぐことは大事です。しかし、国を担っていく人材を育てなければ、日本の伝統や文化などの大切な価値を失ってしまうんですよ。だから政府も大学も、そういう事を踏まえ、考えて教育をしていかなければいけない。それが伝統ある日本の国を守るという教育なんです。

さらにアメリカに依存し続ける岸田政権

上條:しかし岸田政権は日本の伝統を守るどころか、さらにアメリカにすり寄って依存していますね。

小林:本当に情けない……今回の防衛費増額もそうです。結局アメリカから圧力を掛けられて武器を買うための増額ですから。しかもアメリカでいらなくなった中古品を買わされる。本当に情けない限りです。私が何度も言ってきましたが、アメリカは日本に原爆を投下して、大量虐殺をした国ですよ、その国の兵器の在庫処分をさせられる。こんな馬鹿な話がありますか?

上條:それに伴う増税というのもおかしいですよね?

小林:まったくその通りです。本当に抜本的に教育から立て直し、日本人の精神、伝統、文化を教え直さなければいけない。結局、岸田総理大臣も二世議員で、ろくに勉強もしていない。だから自分の地位を守るために、アメリカの顔色を見る政権運営しか出来ないんです。政治家の親の顔を見て育った。そんな政治家ばかりでは、日本の国民の為の政権運営など出来るはずがない。

上條:日本人が自信を持つためには何が必要ですか?

小林:日本人が自信を失ってしまったのは、大東亜戦争での敗戦が大きい。アメリカによる占領政策で、敗戦国であるという意識を植え付けられてしまった。だから負け犬のようになってしまったんです。戦争は良くない事です。しかし、あの戦争の後、日本が大東亜共栄圏と言って戦った国が、植民地支配から独立を勝ち取ったんです。インド、フィリピン、インドネシア、ビルマなど、白人列強支配から独立できた。これは日本が身を挺して、大東亜戦争を戦った結果なんです。

上條:本当ですね……物資もないのに、東亜解放の戦争を精神力で戦った。これは日本人の精神の強さですね。

小林:何度でも言います。戦争は良くない。しかし国力のない日本が、伝統、文化、精神を込めて戦った。これは日本人の強い精神力があったからです。それはしっかりした教育があったからです。もちろん戦争をしてはいけない。しかしもう一度教育を見直し、日本人の強い精神、そして世界に誇れる国家を創りたい。私はそう思っています。

【月刊レコンキスタ令和五年二月号掲載】